下肢静脈瘤とはどんな病気?

見た目が気になるこの病気。あまり聞きなれない病名ですが、大小伏在静脈瘤や網目状静脈瘤などたくさんの種類があり、主に女性がなりやすいと言われています。できやすい人のタイプなどまずは正しい基礎を解説していきましょう。

下肢静脈瘤 概説

下肢静脈瘤は非常に多くの方に発症する疾患で、重篤な血栓症が発生しなければ基本的には命に係わらない疾患ですが、静脈瘤が原因で生じるこむら返り、痒み、痛み、そして肉眼的ストレスに深く悩む患者さんの治癒を望む声は切実で、その苦痛は非常に大きいのが特徴です。

ストリッピング手術という従来の根治的手術は数か所の切開が必要で入院を余儀なくされるため、潰瘍や血栓症など重い症状が発生するまで治療を躊躇するケースが殆でした。 最近は血管内レーザー治療が普及し、傷をつけることなく日帰りで根治的治療が可能になったため、重症でなくても症状があれば治療を行う傾向にあります。

下肢静脈瘤は、静脈の逆流を防ぐ弁が何らかの原因で壊れ、心臓に戻るはずの血液が逆流して血管の中に溜まり、血管が壊れてコブのようにボコボコと拡張した状態を言います。放置すると徐々に悪化します。 弾性ストッキングの着用は予防効果があり症状の進展を抑える点では有用ですが、症状の進行を完全に抑えるものではありません。重症化すると、難治性の湿疹や潰瘍が発生し、血栓により激しい血管炎が起こることがあります。

レーザー治療は、逆流した血管の中に細いファイバー状のレーザーを針穴から入れて、レーザーを照射して血管内を閉鎖します。それにより静脈瘤が萎縮して線維化し最終的には肉眼的に殆ど確認できなくなります。 治療では入院する必要がなく、術後日常生活に速やかに復帰できます。 保険適用のレーザーも選択できます。

ただし、静脈瘤には様々なタイプのものがあり、全ての静脈瘤がこのレーザー治療で対応できるわけではありません。 軽症の小さな静脈瘤やクモの巣状の細かい静脈瘤は硬化療法(注射による治療)や体外照射タイプのレーザーで治療しますが、これら細かい静脈瘤にも治療を行う医療機関はまだ少ないようです。 レーザー治療などの最新治療については、経験豊富な血管外科医に相談することをお勧めします。

下肢静脈瘤とは

私たちは、血液循環の主たるポンプである心臓が機能することによって、体中に酸素や栄養が供給されます。 その際、心臓から体の各部位へ血液を送る道筋が動脈であり、組織で代謝された血液は帰り道である静脈を通じて心臓へ戻されます。 その際、ふくらはぎは第2の心臓とも呼ばれ、足の血液が心臓に戻る際のサブポンプとして働きます。血液が静脈を介して心臓に戻る際に、重力によって逆向きに流れようとする脚の静脈血の血液が逆流しないよう防いでいるのが、静脈内部にある逆流防止弁です。

下肢静脈瘤は、皮膚表面近くにある静脈の中で、脚から心臓へ戻ろうとする血液の逆流を防いでいる「逆流防止弁」が壊れること(弁不全)により発生します。「下肢静脈瘤」とは、この弁が壊れて正常に働かなくなったために血液の逆流が起き、その結果として静脈内の圧が上がって血管が拡張し、足の表面に太く浮き出る、又は瘤のように膨らんでしまう状態のことをいいます。 弁が壊れた血管の中を血液が逆流して、その血液が脚にたまり、血管が伸びたり、こぶのように膨れ上がったり、脚がむくんだり、脚の表面に赤や青の細かい血管が不規則に発生したりします。

弁不全は、加齢とともに発症率が高くなること、長時間の立ち仕事をする人に多いこと、妊娠出産がきっかけになりやすいことがわかっています。背が高く脚の長い人も、血液を心臓に戻すために強い力が必要となるため、発症リスクが高くなるといわれています。

下肢静脈瘤を放置していると、滞った血液が固まって血栓となり、痛みを伴う血管炎を誘発したり、皮膚に潰瘍ができることもあります。深部静脈に負担が掛かって、深部静脈血栓症が誘発されると、その血栓が飛んで肺塞栓症や脳梗塞など命に係わる病気に発展することがあります。

その症状は下肢静脈瘤かもしれません

脚(太ももの裏側、ふくらはぎ、すね、膝の周囲)にボコボコと血管が膨らんでいたり、浮き出ていたりなどの症状が見られたら、それは典型的な下肢静脈瘤と見なして間違いないでしょう。
下肢静脈瘤は、血液の逆流を防ぐ静脈の逆流防止弁が壊れたり、うまく働かなくなったために、体表血管の血液が足先に向かって逆流することによって発症する病気です。

下肢静脈瘤の症状

・足がつる(こむら返りする)
・足がだるい
・ふくらはぎが痛い
・足が重い
・足がむくむ
・ふくらはぎ周囲や足首がかゆい
・血管がボコボコと膨らむ
・血管が浮き上がって見える
・血管に周囲が熱をもって赤くなり痛い
・足首周囲やふくらはぎに茶褐色のシミができる
・脚に湿疹ができる
・足首周囲の皮膚が欠損し潰瘍になる
・足首周囲の皮膚が硬くなる
>> 下肢静脈瘤の症状ついての詳細はこちら

下肢静脈瘤の原因

〈逆流防止弁のはたらき〉

静脈の中には逆流を防ぐ弁が多数あり、血液は下から上へ逆流することなく一方向に流れています。

〈静脈瘤の発症〉

特に表在の静脈が脚の中心を走る深部静脈に合流するところの逆流防止弁が壊れると、深部静脈を流れる血液は表在の血管へ逆流していき、足の下の方に血液が流れ落ちていきます(静脈の流れと逆です)。 逆流した血液によって脚の静脈が膨らみ、最終的には静脈瘤ができてしまいます。
>> 下肢静脈瘤の原因の詳細はこちら

下肢静脈瘤が発症しやすいタイプ

下肢静脈瘤は女性が男性よりやや多く、妊娠・出産が発症のきっかけになることが多いのが特徴の一つです。 また、長時間立ちっぱなしや座りっぱなしの仕事をしている方、運動不足の方、親族に下肢静脈瘤が多い方、太り気味の方、長身で脚の長い方も注意が必要です。

下肢静脈瘤は、認知は高くなりつつも、正しく理解されているとは言い難い血管疾患ですが、その発祥件数は決して少ないものではないのです。例えば、40歳以上の女性では、全体の約10%にあたる人に明らかな静脈瘤が認められるとされています。
症状の程度が軽いものまで含めると、15歳以上の男女では全体の43%、30歳以上の男女では、全体の62%もの人に静脈瘤が認められたという報告もあるのです。

性別:女性

男性に比べ筋力の弱い女性に発症する人が多いことが分かっています。

年齢:高齢

これは加齢により血管が弱くなって弁が壊れやすくなるため、発生頻度が高くなるといわれています。また女性ホルモンの低下も原因の1つとなります。

遺伝:親族に静脈瘤の方がいる

見逃せない要因です。親族に疾病経験を持っている人がいると、これも発生する頻度が高くなるようです。

仕事:立ち仕事に従事している(教師、美容師、調理師など)

一日のほとんどを立ちっぱなしで過ごす、立ち仕事をしている人にも多く発症します。職業別で教師・美容師・調理師・看護師・客室乗務員に多くみられます。 また同じ状態での座りっぱなしも危険です。たとえばエコノミークラス症候群の後遺症とし、発症しやすいことがわかっています。
体型:高身長・肥満

妊娠出産回数が多い

女性の場合はこの理由で発症する人が多いようです。

血液還流

血液還流が正常に働かない原因として以下が挙げられます。
【1】下肢の筋肉が衰えている。
【2】呼吸が浅く胸腔内に陰圧が十分にかからない。
【3】血液粘度が濃い。ドロドロ、ネバネバ血液。
【4】血管が柔らかい。
※女性ホルモンが低下すると血管がやわらかく拡張しやすくなります。

下肢静脈の種類

【伏在静脈瘤】
足の表面近くにある静脈のうち、足の付け根と膝の裏で深部静脈に合流する比較的太い静脈が「伏在静脈」です。伏在静脈の弁が壊れて血液が逆流しその支配領域(ふくらはぎ周囲、むこうずね周囲、膝周囲、太もも内側など)に、こぶのように血管が拡張した状態を伏在静脈瘤といいます。

【側枝(分枝)静脈瘤】
伏在静脈瘤の起始部からの逆流はないけれども、伏在静脈の枝の部分が、部分的に弁が壊れて血液がたまり拡張してできたものです。比較的、膝から下の部分に見られます。不全穿通枝と呼ばれる筋肉を貫通して逆流する血管によって作られる静脈瘤も含まれる場合があります。

【網目静脈瘤】
皮膚直下にある小さな静脈の拡張で、径2~3㎜程度の静脈瘤です。網の目状の広がりを示すことからこう呼ばれます。青色の血管拡張として確認されます。

【クモの巣状静脈瘤】
皮膚表面(表皮)のごく浅いところにある、径0.1~1.0㎜の極めて細い血管が拡張したものです。盛り上がりが殆どなく、赤紫色に見えるのが特徴です。

【陰部静脈瘤】
子宮卵巣周囲の静脈の弁が壊れて発症した血液の逆流が会陰部から太ももの裏側にかけての静脈を破壊することにより作られた静脈瘤です。多くは太ももの裏側を内側から外側にかけて斜めに連なるコブのように見えます。
>> 下肢静脈瘤の種類の詳細はこちら

伏在静脈瘤
側枝状静脈瘤
網目状静脈瘤
クモの巣状静脈瘤
陰部静脈瘤

下肢静脈瘤を予防するための注意点

長時間連続して立ちっぱなし、座りっぱなしは良くありません。 1時間働いたら10分程度は、足をできるだけ高くして休んでください。休めない場合は、足首を回したり、足踏みをしたり、歩き回ったりなど軽い運動をしてください。
ふくらはぎの筋肉ポンプが働いて血流がよくなります。また、適度な圧迫(弾性)ストッキングを利用するのも足の静脈の血流保護になります。 寝るときには、クッションなどを利用して、足を高くして休んでください。

すでに下肢静脈瘤がある場合の注意点

上記の発症予防の注意点に加えて以下の追加事項があります。 掻きこわしや、虫刺されが原因で、色素沈着・下腿潰瘍が発症し治りにくいことがあります。静脈瘤のある脚は特に清潔にし、傷つけないように注意しましょう。
水虫にならないようにすることも重要です。特に妊娠時は、静脈瘤が増悪しやすいので、ことさらこまめな足のケアが重要です。 肥満の方は、体重を減らすことによって症状が改善することがあります。太りすぎないように注意しましょう。
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